浴室やトイレの換気扇から異音がする、換気能力が落ちたと感じていませんか?それは交換のサインかもしれません。本記事では、換気扇交換にかかる料金相場を場所・種類別に詳しく比較し、DIYと業者依頼のメリット・デメリットを解説します。見落としがちなダクト掃除の重要性から信頼できる業者の選び方まで網羅。結論、安全と確実性を求めるなら電気工事士の資格を持つ専門業者への依頼が最善です。この記事を読めば、費用を抑えつつ安心して換気扇を交換する方法がわかります。

1. こんな症状は交換の合図!浴室・トイレ換気扇の寿命と故障サイン

毎日使う浴室やトイレの換気扇。「最近、音がうるさくなったな」「なんだかカビ臭いかも…」と感じていませんか?それは、換気扇が発している交換のサインかもしれません。換気扇の設計上の標準使用期間(寿命)は、一般的に10年~15年とされています。特に24時間換気システムが普及してからは、モーターの稼働時間が長くなり、この期間より早く寿命を迎えるケースも少なくありません。寿命が近づいた換気扇を使い続けると、換気能力が落ちるだけでなく、思わぬ事故につながる危険性もあります。以下のような症状が見られたら、交換を本格的に検討しましょう。

1.1 症状1:異音・騒音

換気扇の故障サインとして最も分かりやすいのが「異音」です。以前はしなかった音が聞こえるようになったら要注意。音の種類によって、原因は様々です。放置すると症状が悪化し、完全に動かなくなるだけでなく、モーターの異常発熱などを引き起こす可能性もあります。

異音の種類 主な原因 危険度と対処
「キュルキュル」「キーキー」 モーター内部のベアリング(軸受)の潤滑油切れや摩耗が考えられます。初期症状であることが多いです。 初期段階ではあるものの、劣化が始まっているサインです。次第に音が大きくなり、やがて他の不具合につながります。
「カラカラ」「カタカタ」 モーターの軸がズレてファンやカバーに接触している、または長年の使用でファンが変形・破損している可能性があります。 部品の破損が考えられるため、放置は危険です。破損した部品が脱落する可能性もあります。早めの点検・交換をおすすめします。
「ゴーッ」「ブーン」 モーター自体の寿命が近づいているか、ファンやダクト内部にホコリが大量に溜まり、モーターに過剰な負荷がかかっている状態です。音がするだけでファンが回っていない場合もこれに該当します。 モーターの寿命が近い危険なサインです。過負荷の状態で使い続けると、モーターが異常発熱し、火災につながるリスクもあります。

簡単なホコリ掃除で改善することもありますが、多くの場合、これらの異音はモーター本体の経年劣化が原因です。音が気になり始めたら、専門業者に点検を依頼するのが賢明です。

1.2 症状2:換気能力の低下・異臭

「換気扇を回しても、浴室の湿気が取れにくくなった」「トイレのニオイがこもりがち」といった換気能力の低下も、重要な交換サインです。鏡の曇りがなかなか消えない、壁や天井に水滴がつきやすくなった、といった変化も含まれます。これは、単にフィルターが汚れているだけでなく、モーターのパワーが落ちているか、排気ダクト内でホコリが詰まっている可能性を示唆しています。

また、換気扇から不快な「異臭」がする場合も注意が必要です。

  • カビ臭い・ホコリ臭い
    換気扇内部や排気ダクトに蓄積したホコリや湿気が原因で、カビや雑菌が繁殖しているサインです。これを放置すると、室内にカビの胞子をまき散らすことになり、アレルギーなど健康への悪影響も懸念されます。
  • 焦げ臭い
    これは最も危険なサインです。直ちに換気扇の使用を中止し、ブレーカーを落としてください。モーターの異常や配線のショートなどが原因で、内部が焦げ付いている可能性があります。放置すれば火災に至る危険性が非常に高いため、絶対にそのまま使用せず、速やかに専門業者に連絡してください。

換気能力の低下や異臭は、見えない部分の汚れや劣化が原因であることが多く、掃除だけでは根本的な解決にならないケースが少なくありません。特にモーターのパワーダウンが原因の場合は、本体の交換が必要となります。

1.3 症状3:電源が入らない・動かない

スイッチを入れても換気扇がうんともすんとも言わない、完全に動かなくなってしまった。これは、換気扇が寿命を迎えた最も分かりやすい症状です。原因としては、いくつかの可能性が考えられます。

  • 換気扇本体のモーターの故障
  • 壁スイッチの故障
  • 内部配線の断線や接触不良
  • 漏電ブレーカーが作動している

ご自身で確認できるのは、分電盤のブレーカーが落ちていないかという点です。もしブレーカーに異常がないのに動かないのであれば、換気扇本体か、それに繋がる電気系統のトラブルである可能性が高いです。特に、長年使用した換気扇が突然動かなくなった場合は、モーターの寿命が尽きたと考えられます。配線やスイッチのトラブルも含め、電気系統の点検・修理には「電気工事士」の資格が必要です。感電や火災のリスクを避けるためにも、ご自身で分解などはせず、プロの業者に調査と交換を依頼しましょう。

2. 【料金表】換気扇の交換費用はいくら?場所・種類別の相場を比較

浴室やトイレの換気扇交換にかかる費用は、「換気扇本体の価格」と「交換工事費」の合計で決まります。しかし、設置場所や換気扇の種類、現在の設置状況によって総額は大きく変動するため、一概に「いくら」とは言えません。この章では、換気扇交換の料金について、場所・種類別の詳しい相場から費用の内訳、思わぬ追加料金が発生するケースまで、分かりやすく解説します。

2.1 浴室換気扇の交換料金

浴室は家の中で最も湿気がこもりやすい場所のため、換気扇にはパワフルな換気能力が求められます。近年では、シンプルな換気機能のみの製品に加え、暖房、衣類乾燥、涼風、24時間換気など多機能な「浴室暖房乾燥機」も人気です。当然、機能が増えるほど本体価格も工事費も高くなる傾向にあります。

一般的なシロッコファンタイプの換気扇から、高機能な浴室暖房乾燥機への交換まで、料金相場は以下の通りです。

種類 本体価格の目安 基本工事費の目安 合計費用の目安
シンプル換気扇(シロッコファン) 10,000円~30,000円 15,000円~25,000円 25,000円~55,000円
浴室暖房乾燥機(1室換気) 50,000円~150,000円 25,000円~40,000円 75,000円~190,000円

※既存の換気扇と同じサイズの後継機種に交換する場合の料金です。開口部の拡張や電源工事が必要な場合は追加費用が発生します。

2.2 トイレ換気扇の交換料金

トイレの換気扇は、臭気や湿気を排出する目的で設置されます。浴室用に比べて小型で、運転音が静かなモデルが主流です。壁に直接取り付ける「パイプファン」と、天井裏のダクトに接続する「天井埋込型」の2種類が一般的です。

近年では、人の出入りを検知して自動でON/OFFする人感センサー付きのモデルも人気があり、消し忘れを防いで電気代の節約にも繋がります。

種類 本体価格の目安 基本工事費の目安 合計費用の目安
壁付け型(パイプファン) 5,000円~15,000円 10,000円~20,000円 15,000円~35,000円
天井埋込型 8,000円~25,000円 15,000円~25,000円 23,000円~50,000円

※壁の穴あけや電気配線工事が伴う新規設置の場合は、追加料金がかかります。

2.3 中間ダクトファン・浴室暖房乾燥機の交換料金

1台の換気扇で浴室とトイレ、洗面所など複数の部屋を同時に換気する「多室換気」タイプもあります。これには、天井裏のダクトの途中に設置される「中間ダクトファン」や、吸込口が複数ある「多室換気扇(2室・3室用)」、「多室換気対応の浴室暖房乾燥機」などがあります。

これらの機種は構造が複雑で、点検口からの作業となることが多いため、工事の難易度が上がり、費用も高額になる傾向があります。特に中間ダクトファンは設置場所の確認が必須なため、見積もりを依頼するのが確実です。

種類 本体価格の目安 基本工事費の目安 合計費用の目安
中間ダクトファン 20,000円~50,000円 25,000円~40,000円 要見積もり(45,000円~)
2室・3室換気扇 20,000円~45,000円 20,000円~35,000円 40,000円~80,000円
浴室暖房乾燥機(多室換気) 70,000円~200,000円 30,000円~50,000円 100,000円~250,000円

2.4 工事費用の内訳と追加料金が発生するパターン

「思ったより高かった」という事態を避けるため、工事費に何が含まれ、どのような場合に追加料金がかかるのかを事前に把握しておくことが非常に重要です。

2.4.1 基本工事費に含まれるもの

多くの業者が提示する「基本工事費」や「標準工事費」には、一般的に以下の作業が含まれています。

  • 既存換気扇の取り外し作業
  • 新しい換気扇の取り付け作業
  • 既存ダクトへの接続
  • 既存配線への接続
  • 作業場所周辺の養生
  • 取り外した古い換気扇の処分費
  • 動作確認

ただし、業者によって「基本工事」の範囲は異なります。特に見落としがちなのが「ダクト内部の清掃」です。ホコリが詰まったままでは新しい換気扇の性能を十分に発揮できません。見積もりの段階で、ダクト清掃が含まれているか必ず確認しましょう。

2.4.2 換気扇本体の価格帯

工事費と並んで費用を大きく左右するのが換気扇本体の価格です。本体価格は、主に以下の要素で決まります。

  • 機能:シンプルな換気機能のみか、人感センサー、タイマー、暖房、乾燥などの付加機能があるか。
  • メーカー:パナソニック、三菱電機、東芝、MAXなど、主要メーカーによって価格帯が異なります。
  • サイズ・パワー:設置場所の広さに応じたパワーや、天井の開口寸法に合うサイズか。

業者に依頼する場合、本体価格と工事費がセットになった「コミコミ価格」で提示されることも多いですが、その際は本体の型番を確認し、ご自身でも価格を調べてみると納得感が増すでしょう。

2.4.3 要注意!追加料金が必要なケース

見積もり時に提示された金額は、あくまで標準的な状況を想定したものです。現場の状況によっては、以下の追加工事とそれに伴う料金が発生することがあります。

2.4.3.1 ダクトの劣化・破損による交換

長年使用した浴室換気扇の場合、湿気や洗剤成分の影響で排気用のアルミ製ダクトが腐食・破損していることがあります。少し触っただけでボロボロと崩れるほど劣化しているケースも少なくありません。ダクトに穴が開いていると、湿気やホコリを含んだ空気が天井裏に排出され、建物の構造材を傷めたり、カビの原因になったりする恐れがあります。このような場合は、ダクトの補修または交換が必要となり、5,000円~20,000円程度の追加費用がかかります。

2.4.3.2 天井の開口・補修作業

既存の換気扇と新しい換気扇のサイズが異なり、天井の開口部を広げる必要がある場合、追加料金が発生します。また、古い建物に多いのが、天井を貼る前に換気扇本体を設置する「先行設置」という工法です。この場合、本体のフチが天井材に埋もれており、そのままでは取り外せないため、周囲の天井ボードを開口(カット)する作業が必要になります。この開口・補修作業には、10,000円~30,000円程度の追加費用が見込まれます。

2.4.3.3 専用電源工事

浴室暖房乾燥機のように消費電力が大きい機器を新たに取り付ける場合、安全のために分電盤から専用の電気回路を引く「専用電源工事」が必須となることがあります。この工事は第二種電気工事士以上の資格が必要な専門作業であり、配線の距離や壁の構造によって費用は変動しますが、15,000円~40,000円程度が相場です。

3. 換気扇の交換は自分でできる?DIYと業者依頼を比較

浴室やトイレの換気扇が故障した際、「本体だけならホームセンターでも売っているし、自分で交換できないだろうか?」と考える方も少なくないでしょう。確かに、工事費を節約できるDIYは魅力的に見えます。しかし、換気扇の交換は一見簡単そうに見えて、実は専門的な知識と技術、そして資格が必要になるケースが多い作業です。安易なDIYは、思わぬトラブルや危険につながる可能性があります。ここでは、DIYと専門業者への依頼、それぞれのメリット・デメリットを徹底的に比較し、どちらが最適な選択なのかを解説します。

3.1 DIYのメリット・デメリットとリスク

自分で換気扇を交換するDIYには、コスト面の魅力がある一方で、多くのデメリットと看過できないリスクが潜んでいます。挑戦する前に、以下の点を必ず確認してください。

メリット デメリットとリスク
  • 費用の節約: 業者に支払う工事費用がかからないため、本体価格のみで済む。
  • 自由なタイミング: 自分のスケジュールに合わせて作業ができる。
  • 専門知識と技術が必要: 電気配線、ダクト接続、本体の固定など、正しい知識がないと施工できない。
  • 工具の準備: 電動ドライバー、脚立、検電器など、必要な工具を揃える手間と費用がかかる。
  • 時間と労力がかかる: 不慣れな作業のため、予想以上に時間がかかることが多い。
  • 感電・漏電・火災のリスク: 電気配線を誤ると、重大な事故につながる危険性が非常に高い。
  • 設置不良による性能低下: 隙間なく設置できなかったり、ダクト接続が不完全だったりすると、換気能力が著しく低下する。
  • 製品選びの失敗: 既存の開口寸法やダクト径に合わない製品を購入してしまう可能性がある。
  • 建物の劣化: 施工ミスにより天井裏に湿気が漏れ、カビや結露、建材の腐食を引き起こす可能性がある。
  • 怪我の危険: 不安定な足場での作業による転落や、工具の誤使用による怪我のリスクがある。
  • 保証がない: 全ての作業が自己責任となり、失敗しても誰も保証してくれない。

特に注意が必要なのは、電気配線の接続作業は「電気工事士」の資格がなければ行ってはならないと法律で定められている点です。既存の配線をそのまま流用するだけであっても、無資格での作業は違法となる可能性があります。安全と法律遵守の観点から、DIYには大きなハードルがあることを理解しておく必要があります。

3.2 業者に依頼するメリット・デメリット

専門業者に依頼する場合、費用はかかりますが、それを上回る多くのメリットと安心感を得ることができます。

メリット デメリット
  • 高い安全性と確実性: 有資格者であるプロが施工するため、感電や火災の心配がなく、換気扇の性能を最大限に引き出せる。
  • 最適な製品提案: 現場の状況(天井の開口寸法、ダクトの状態、電源の位置など)を確認し、最適な後継機種や代替品を提案してくれる。
  • 迅速で丁寧な作業: 豊富な経験と専門工具により、短時間で確実に交換作業が完了する。
  • ダクト清掃など周辺作業も万全: DIYでは見落としがちなダクト内部に溜まったホコリの清掃や、劣化したダクトの補修・交換も同時に依頼できる。
  • 工事保証とアフターフォロー: 多くの業者では施工後の保証を設けており、万が一の不具合にも対応してもらえる安心感がある。
  • 手間がかからない: 業者探しから見積もり、施工、古い換気扇の処分まで、すべて任せることができる。
  • 費用がかかる: 換気扇本体の価格に加えて、工事費や出張費などが発生する。
  • 業者選びの手間: 信頼できる業者を見つけるために、複数の業者を比較検討する必要がある。
  • 日時の調整が必要: 業者のスケジュールに合わせて工事日を決める必要がある。

3.3 結論:安全と確実性を求めるなら業者依頼がおすすめ

DIYと業者依頼を比較すると、その結論は明確です。費用を抑えられるというDIYのメリットは、感電・火災・漏電といった重大な事故のリスク、そして施工不良による換気性能の低下や建物の損傷といったデメリットの前では、決して割に合うものとは言えません。

特に湿気が多く、漏電のリスクが高い浴室や、電気配線が複雑なケースでは、専門知識を持つプロの判断が不可欠です。資格が必要な作業を伴う以上、安全・確実、そして合法的に交換作業を終えるためには、専門業者への依頼が唯一の正しい選択肢と言えるでしょう。

目先の数万円を節約するためにDIYを選び、結果的に重大な事故や建物の修繕で高額な出費につながる事態は絶対に避けるべきです。長期的な視点で見れば、プロによる確実な施工こそが、ご自宅の資産価値を守り、家族が安心して暮らすための最も賢明な投資となります。

4. 【業者比較】換気扇交換はどこに頼む?依頼先の選び方とポイント

浴室やトイレの換気扇交換を考えたとき、「いったいどこに頼めばいいの?」と悩む方は少なくありません。近所の電気店からネットで見つけた専門業者まで選択肢は多様ですが、依頼先によって料金やサービスの質は大きく異なります。料金の安さだけで選んでしまうと、見えないダクト部分の清掃が省略されるなどの手抜き工事につながり、結局すぐに換気能力が落ちて再工事が必要になるケースも。ここでは、後悔しない業者選びのために、依頼先の種類と特徴、そして信頼できる業者を見極めるためのポイントを詳しく解説します。

4.1 依頼先の種類と特徴を比較

換気扇交換の主な依頼先は、「専門業者(電気工事店)」「家電量販店・ホームセンター」「リフォーム会社」の3つに大別できます。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の状況に合った依頼先を選びましょう。

依頼先の種類 専門性・技術力 料金 特徴・注意点
専門業者(電気工事店) ◎ 高い ◯ 適正価格 ・換気扇工事のプロフェッショナル。
・ダクト清掃や特殊な設置状況にも柔軟に対応可能。
・直接契約のため中間マージンがなく、コストパフォーマンスが高い。
・業者によって技術や対応に差があるため、実績の確認が重要。
家電量販店・ホームセンター △〜◯(業者による) △ やや割高 ・店舗で気軽に相談でき、ポイントが貯まるなどのメリットがある。
・実際の工事は提携する下請け業者が行うことが多い。
工事担当者を選べず、技術力にばらつきが出る可能性がある。
・中間マージンが発生するため、料金は割高になる傾向。
リフォーム会社 ◯ 比較的高い △〜× 割高 ・浴室やトイレ全体のリフォームと同時に行う場合に最適。
・他の工事とまとめて依頼でき、窓口が一本化できる。
・換気扇交換単体の依頼だと、費用がかなり割高になることが多い。
・リフォームの一環として、デザイン性の高い機種の提案も期待できる。

4.1.1 専門業者(電気工事店)

換気扇交換を専門または得意分野とする電気工事店は、最もおすすめの依頼先です。電気工事士の資格を持つスタッフが直接対応するため、専門知識と技術力は非常に高いレベルが期待できます。ダクト内部の念入りな清掃や、古い建物で発生しがちな配線の問題など、予期せぬトラブルにも的確に対応できる対応力が魅力です。また、メーカーと直接取引していることが多く、後継機種の選定もスムーズ。直接依頼なので中間マージンがかからず、質の高い工事を適正価格で受けられる可能性が高いでしょう。

4.1.2 家電量販店・ホームセンター

ヤマダデンキやケーズデンキ、カインズやコーナンといった身近な店舗で依頼できる手軽さが最大のメリットです。普段から利用している店舗であれば相談しやすく、ポイント還元などの特典も受けられます。ただし、注意点として、実際に工事を行うのは提携している下請けの電気工事店です。そのため、担当する職人によって技術や対応の丁寧さに差が出やすい動>というデメリットがあります。また、下請け業者を介す分、中間マージンが上乗せされ、専門業者に直接依頼するよりも料金は高くなる傾向にあります。

4.1.3 リフォーム会社

TOTOやLIXILなどを扱うリフォーム会社は、浴室やトイレの内装リフォームと合わせて換気扇を交換する場合に頼りになる存在です。工事全体のスケジュール管理や窓口を一本化できるため、施主の負担が軽減されます。しかし、換気扇交換のみを単体で依頼すると、専門業者に比べて費用が大幅に割高になることがほとんどです。あくまでリフォームが主目的で、その一部として換気扇も新しくしたいという場合に適した選択肢と言えるでしょう。

4.2 信頼できる業者を見つけるための5つの質問

依頼先候補をいくつか絞り込んだら、問い合わせや見積もりの際に以下の5つの質問を投げかけてみましょう。業者の姿勢や技術力を見極め、悪質な業者や手抜き工事を避けるための重要なチェックポイントです。

4.2.1 「ダクトの清掃は料金に含まれていますか?」

これは最も重要な質問です。換気扇の性能は、本体だけでなく、空気を排出するダクトの状態に大きく左右されます。長年蓄積したホコリがダクト内に詰まっていると、いくら新しい換気扇に交換しても本来の換気能力は発揮されません。悪質な業者は、見えない部分であるダクト清掃を省略することで、作業時間を短縮し、安い料金を提示することがあります。見積もりに「ダクト清掃費」が明記されているか、作業前にダクト内部の状況(Before)と清掃後(After)を写真で見せてもらえるかなどを確認しましょう。

4.2.2 「見積もり以上の追加料金は発生しますか?」

「工事費一式」といった曖昧な見積もりには注意が必要です。優良な業者は、現地調査や写真確認の上で、詳細な見積もりを提示してくれます。その上で、「どのような場合に追加料金が発生する可能性があるか」を事前に確認しておくことが大切です。例えば、「ダクトが経年劣化で破損していた場合の交換費用」や「天井の開口が必要になった場合の作業費」など、起こりうるケースとその際の費用を具体的に説明してくれる業者であれば信頼できます。

4.2.3 「電気工事士の資格はお持ちですか?」

換気扇の交換工事は、電源の配線を伴うため「電気工事」に該当します。この作業は、法律により「電気工事士」の資格を持つ人でなければ行うことができません。無資格者による工事は、漏電やショート、最悪の場合は火災につながる重大なリスクを伴います。必ず、ウェブサイトに資格情報が明記されているか、あるいは直接「工事担当者は電気工事士の資格をお持ちですか?」と確認しましょう。当たり前のことですが、この質問に明確に答えられない業者は絶対に避けるべきです。

4.2.4 「施工実績を見せてもらえますか?」

業者の技術力や経験値を判断する上で、施工実績の確認は非常に有効です。特に、自宅と同じメーカーの換気扇や、似たような設置状況(マンション、戸建てなど)での工事実績が豊富にあれば、安心して任せることができます。業者のウェブサイトに掲載されている施工事例ブログなどをチェックし、写真付きで丁寧に作業内容が解説されているかを確認しましょう。具体的な事例は、その業者の仕事に対する誠実な姿勢を映し出す鏡となります。

4.2.5 「工事後の保証はありますか?」

換気扇本体にはメーカー保証が付いていますが、それとは別に「工事そのもの」に対する保証(施工保証)があるかを確認しましょう。万が一、設置後に「異音がする」「換気扇がぐらつく」といった施工が原因とみられる不具合が発生した場合、施工保証があれば無償で対応してもらえます。保証期間(1年、3年など)や保証の範囲を事前に書面で確認しておくことで、工事後も長く安心して換気扇を使い続けることができます。

5. 交換前に知っておきたい「ダクト」の重要性

浴室やトイレの換気扇交換を検討する際、多くの方が新しい換気扇本体の機能や価格に注目しがちです。しかし、換気性能を最大限に引き出すためには、本体と同じくらい、あるいはそれ以上に「ダクト」の状態が重要であることをご存知でしょうか。

ダクトは天井裏などに隠れていて普段目にすることはありませんが、空気の通り道として換気システムの心臓部ともいえる役割を担っています。このダクトが汚れていたり、劣化していたりすると、どんなに高性能な最新の換気扇に交換しても、その効果は半減してしまいます。

ここでは、見落とされがちなダクトの重要性について、その役割から清掃・交換の必要性まで詳しく解説します。

5.1 換気扇の性能を左右するダクトの役割

ダクト式換気扇は、換気扇本体が吸い込んだ室内の湿気や汚れた空気を、ダクト(管)を通して屋外へ排出する仕組みです。ダクトは主にアルミや樹脂、亜鉛めっき鋼板などの材質でできており、建物の構造に合わせて天井裏や壁の中を這うように設置されています。

この「空気の通り道」であるダクトが、もし詰まっていたり、穴が開いていたりしたらどうなるでしょうか。当然、空気はスムーズに流れず、排気能力は著しく低下します。換気扇が「ブーン」と音を立てて動いていても、実際には空気が排出されず、湿気や臭いが室内にこもってしまうのです。

換気扇の交換は、単にモーターが付いた機械を取り替えるだけでなく、この空気の通り道全体を正常な状態に保つことが、本来の目的と言えるでしょう。

5.2 見えない部分のホコリが換気不良の原因

換気扇を長年使用していると、吸い込んだ空気中のホコリ、衣類のリント、湿気などがダクト内部に少しずつ蓄積していきます。特に浴室のダクトは、湿気によってホコリが粘土のように固まり、ヘドロ状になって付着しているケースも少なくありません。

実際にあった事例として、「交換して5年しか経っていないのに換気扇の吸い込みが悪い」という相談がありました。点検してみると、換気扇本体は故障しておらず、原因はダクト内部にありました。前回の交換時にダクト清掃が行われなかったため、10数年分のホコリが溜まりに溜まって、ダクト内を完全に塞いでいたのです。

このように、換気扇の不調の原因が、実は本体の故障ではなくダクトの詰まりであることは非常に多いのです。安さだけを理由に業者を選んだ結果、この最も重要なダクト清掃が省略され、結局すぐに換気不良に悩まされるという事態は避けなければなりません。

信頼できる業者は、換気扇本体を取り外した際に、お客様にダクト内部の状況を写真などで見せてくれることもあります。見えない部分だからこそ、交換時には必ず状態を確認し、清掃を行うことが不可欠です。

5.3 ダクト清掃・交換の必要性と料金

換気扇交換時に点検したダクトの状態によって、必要な作業は「清掃」か「交換」に分かれます。これらは多くの場合、基本的な交換工事費とは別の追加料金となります。

5.3.1 ダクト清掃で対応できるケース

ダクト本体に破損や著しい劣化がなく、ホコリや汚れの蓄積が主な問題である場合は、専門の機材を使った清掃で対応可能です。業者によっては、換気扇の基本交換工事に軽微なダクト清掃が含まれていることもありますが、詰まりがひどい場合は追加作業となります。

5.3.2 ダクト交換が必要になるケース

特に築年数の古い住宅の浴室では、注意が必要です。長年、石鹸やシャンプーなどに含まれる酸性の湿気を吸い込み続けることで、アルミ製のダクトが腐食し、ボロボロになっていることがあります。手で触るだけで崩れてしまったり、虫食いのように穴が開いていたりするケースも珍しくありません。

ダクトに穴が開いていると、排気されるはずの湿気や汚れた空気が天井裏に漏れ出し、カビの発生や建物の構造材を傷める深刻な原因となります。このような場合は、部分的な補修ではなく、新しいダクトへの交換が必須です。

5.3.3 ダクト関連の追加料金の目安

ダクトの清掃や交換にかかる費用は、ダクトの材質、長さ、作業の難易度によって大きく変動します。以下はあくまで一般的な目安として参考にしてください。正確な料金は必ず事前に業者に見積もりを依頼しましょう。

作業内容 料金相場の目安(税込) 備考
ダクト内部清掃 8,000円 ~ 20,000円 ホコリの量やダクトの長さによって変動します。基本的な交換工事に含まれる範囲を超える場合に追加されます。
ダクトの部分補修 5,000円 ~ 15,000円 軽微な亀裂や接続部の外れなどを修正する場合の費用です。劣化が激しい場合は対応不可となります。
ダクト交換 15,000円 ~ 40,000円 ダクトの長さや材質、天井裏の作業スペースの有無など、現場の状況によって料金が大きく変わります。

換気扇を交換する絶好の機会にダクトの状態も一新することで、本来あるべき快適な換気環境を取り戻すことができます。見積もりを取る際は、ダクトの点検や清掃が含まれているか、追加料金が発生する可能性があるかを確認することが、後悔しない換気扇交換の重要なポイントです。

6. まとめ

浴室やトイレの換気扇に異音や換気能力の低下といったサインが見られたら、交換を検討する時期です。交換費用は機種や工事内容によって変動するため、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。DIYは感電や火災のリスクを伴うため、安全と確実性を求めるなら電気工事士の資格を持つ専門業者への依頼が最善の選択と言えるでしょう。業者を選ぶ際は、料金だけでなく、見落としがちなダクトの清掃や工事後の保証内容まで確認し、総合的に比較検討することが後悔しないためのポイントです。