動力ブレーカーが溶融した跡

発火が原因で回りが溶融した動力配電盤と昔からある古い主幹側動力配電盤の改修工事を大阪市大正区にある木材会社樣よりご依頼いただきました。

状況を把握するため現地にお伺いしてビックリ。。。動力配電盤は消火剤で全面ピンク色の粉だらけの状態になっていました。

消防から説明を受けられたようですが、古くなった『低圧進相コンデンサ』から発火したのが出火の原因です。大体ブレーカーの横か下側についている四角い弁当箱のような形の装置です。

ここでは低圧進相コンデンサの役割について詳細な説明は割愛しますが、3相200Vの動力電源で使用する工作機械(主にモーターを動かす種類)、業務用冷蔵庫など力率改善を目的として工場や商店などの動力配電盤に多く使われています。

工場が密集している地域の地体自治体、消防は勿論のこと工業会などもHPで注意を呼びかけていますが、残念ながら事故が続いているのが現状です。特に昭和50年以前に製造されたものは事故を防止する安全装置が内蔵されていないため注意が必要です。

昔からついている『低圧進相コンデンサを1度も業者に交換依頼したことがないなぁ』と覚えがある方はこのブログを機会に危険度の重要性を認識していただけば幸いです。

大火災になる一歩手前まで経験されたこともあり安全安心に3相200V電源を使用出来るように動力配電盤2面共全面改修をします。

創業者の祖父の時代から数えて40年以上前からある動力配電盤ですが、途中1度もメンテナンは行わず使っていたようです。

このような状況なのでお客様もどこの機械に接続されているブレーカーなのか把握されておらず、まずは行先を調べて使っていない不要なブレーカーを撤去、機械に必要な電源の確保と今後とも安全安心に使用するため一つずつ確認しながら丁寧に作業を行いましたが出るわ出るわ不良工事とデタラメ工事のオンパレード。これでもかと言うくらい。。。

今回、低圧進相コンデンサの発火が原因で出火した動力配電盤の全面改修に至りましたが、設備を見直して安全安心に使用できるようになり結果的には良かったと思います。

当店では、お客様がご存知ないことを分かりやすくご説明させていただきムダな工事は省いてメリットある施工の提案を行っております。

エコサポートにご依頼下さり誠にありがとうございました。
当店では丁寧な施工で安全安心に「第一種電気工事士」が責任をもって作業を行っておりますので、お気軽にご相談下さい。

施工地域:大阪市大正区【木材会社 S社様】
工事内容:3相200V動力配電盤2面改修工事

 

火災をおこした動力配電盤

少しでも発見が遅れていたら大火災になるところでしたが、煙が出ているの近所の方が見つけてくれて素早く消火した動力配電盤です。全体的にピンク色になっているは消火器を噴射した薬剤です。(ご近所さんとの日頃のお付き合いが大事です)

 

発火した低圧進相コンデンサー跡

四角の赤い部分に発火した低圧進相コンデンサが取り付けられていましたが、既に電力会社が撤去していました。ちなみに赤い部分の左右についている四角い弁当箱みたいなのが低圧進相コンデンサです。

 

動力ブレーカーが溶融した跡

右上のブレーカーをご覧いただくと本体と2次側の電線が溶融しており出火の凄まじさがお分かりいただけるのでないかと思います。

 

使用していない動力ブレーカー

機械設備を増やすたびに無理やりブレーカーを増設した動力配電盤回りです。この箇所には接地3P20Aコンセントが2個必要なだけであと残りのブレーカーの行先を調べたところ結局どの機械にも接続されていませんでした。

 

動力ブレーカー撤去後

どの機械設備にも電源を送っていない不必要な動力ブレーカーを撤去して送り電線を整理しました。

 

鉄骨アース

既設の設備では大地や鉄骨ではなく木板のビスにアース線を巻きつけて接地線ということにしていましたが、これではアースが落ちることがなくデタラメ工事もいいところです。今回は大地とつながっている鉄骨に穴を開けて接地工事を施しました。数値も16Ωとかなり落ちています。(既設の接地工事はあまりにもひどく危険な真似をされると問題があるので画像は割愛しています)

 

動力配電盤改修工事後

今回は安全第一で3P40Aのブレーカーから3P20Aブレーカーに2回路送り接地3P20Aコンセントに電源を送るようにしています。緑の電線が上記の画像説明通りアース線を裏側から通してコンセントに接続しています。消火剤まみれになっていた動力配電盤の改修が完了です。

 

古い低圧配電盤

積算電力計から電気が送られている主の動力配電盤ですが、ご多分にもれず不良工事のオンパレードでした。主幹の開閉器がカバースイッチ3P60Aのため仮に漏電していても検知する機能が備わっていないので電源が落ちません。それと赤丸の幹線サイズですが3P60Aのカバースイッチに対しVVR8SQ-3C(許容電流42A)の細い電線が使われている状況でした。

 

1次側活線作業

主幹のカバースイッチから電源線を外し活線作業のため絶縁カバーを被せたところです。通電されているので慎重に作業を行います。

 

CKS3P60A撤去跡

再利用する木板と左下に取り付けられている100V露出コンセントとタンブラスイッチを残して動力の開閉に使っているカバースイッチ、手元スイッチ(ハイプロ)、コンデンサ類すべて撤去しました。ちなみに露出コンセントの上に楕円形のシールが貼ってありますが、電力会社から委託されて4年に1度検査に訪れる保安協会の調査済(合格)になっていましたが(ホント、どこ見てんねん!て感じでいいかげんな検査もいいとこです)

 

低圧配電盤改修後

60Aのカバースイッチに対して幹線がVVR8SQ-3C(許容電流42A)だったので許容範囲でもある3P40Aの漏電ブレーカーに取替えました。こちらの方もアース線がありましたがトタン壁に巻きつけただけで全くダメ!新たに鉄骨でアースを落としています。数値としては28Ωでした。40数年前の動力配電盤のこともあり想像していた以上に不具合箇所が多く見つかり手間がかかりましたがブレーカー(開閉器)も新しくなり古い割には絶縁抵抗も悪くなく鉄骨アースでしっかり接地をしていることもあり今後は安心安全に動力配電盤をお使いいただけます。